狂気の画家Karel Appel/カレル・アペル氏の作品をパリ市立近代美術館MAMで見た。/パリ観光/美術館めぐり
こんにちは。パリ市近代美術館に行ってきたよー。役に立つ情報を書きたいと言いつつ、今回はこんな書き出しになってごめんなさい…。地下鉄イエナが近いけど、私はボワシエールから歩いたよ。結構難しくて、同じ道をぐるぐるしました。
エッフェル塔が近いからよく見えるよ。今日はたぶん企画展を見たんだけど、Karel Appel/カレル・アペルさんの作品が凄すぎたから、ちょっと書くね。
Karel Appel/カレル・アペルさん
入場した時から、この人やばいひとなんだってことは分かったよ。まず…筆遣いに、ばっちり感情が閉じ込められてるから、そういうタイプの人なんだなってことは分かった。何作も何作も見ていく内に、そのエネルギーが私を圧倒して心にぐいぐい侵入して来て、問いかけ迫ってきたのは分かってて、怒られてるのか、叱られてるのか、叫ばれてるのか、よく分からないけど息苦しくて…美術品が高額だから、なんとか後ろに倒れたりとかだけはしないようにって、そんなことを心配しつつ、中盤に来たところで、ご本人の製作風景を録画したビデオが放映されててね。日本だとさ、「作家の○○さんは○○県で生まれ、どこどこ大学を卒業され、●●コンクールに入選…」みたいな、ありがちで当たり障りないゴミみたいなテロップ入ると思うんだけど、そういう気遣いは無いんだよね。それで、もう何も言われなかったら殺人現場かな?っていうような手元の使い方と険しい表情でキャンバスをこれでもか!ってほど筆(ナイフに見えてくる)で叩きつける訳。それも幸せなのか苦しいのか分からないような恍惚の表情で。その段階で既に、あぁやっぱり感情を閉じ込めてたんだ、でも死して尚鑑賞者に叫びを浴びせられる程の感情を絵に残す為には、ここまで狂って、その狂いに耐えて、更に言えばコントロール出来てってことが必要なんだって…このレベルで狂わなきゃいけないんだ…ってことがもう恐ろしくて。。それでビデオの最後で、絵を描き終わったアペルさんが何事もなかった様にコーヒーを飲むんだ。それから別人のような落ち着いた表情で絵にサインするんだよ。横で一緒に見てた人達なんかはそこで笑うんだよね。あはは、みたいな。もうちょっと私は笑えなかった。
更には furthermore
奥はまた別の意味で怖いの。
打って変わってファニーな雰囲気だったから、「あ、ここいいじゃん…安心、安心。」とか思ってしばらく椅子に腰掛けてたんだけど、だんだん「え?同一人物だよね?こんな童心に返った作品も作れるの……?」ってことが逆に怖くなってきて…。
まとめSummary
狂うのって精神力が要ると思うんだ。狂ってるだけじゃなく、それを冷静に見てる自分とか、元に戻る場所(人格)っていうのも必要な訳でしょ…それとも彼はあの狂ってる方が本人なの?ってちょっと帰りの電車で思ったりしたけど……まさかね…。とにかく安心して見ていられるような作家さんではなかったし…自分で自分を追い込んで壊れないトレーニングってどうやって積んだんだろうとか…考えた。あとは、芸術のアプローチって、知性がなかったら感情しかないと思うんだ。私はたぶんそんなに知的じゃないからさ…知的な人は視点の妙とか着眼の妙とかで人を唸らせることが出来ると思うんだよね。それが出来ないのなら感情の力で人を動かすしかないんじゃないの?って。でも私は自分の意志であそこまで狂うことは出来なくて…、あ、でもこれ逆に言うと、自分で自分の狂いをコントロール出来るようになるってことなのかも?。それなら、平静を装うことにエネルギーを使うより寧ろ前向きと言えるのかもしれない。挑戦してみようかな…。
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